北アルプスに喚く

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北アルプスに喚く

「重い!」

自宅でザックを背負った瞬間、思った。私は勝手に荷物が増えていく人間なので、いつも旅に出るときに
「なんで今回はこんなに荷物が多いのだろう?」
と我ながら不思議に思う。特に縦走は今回が初めてなので、なんでもかんでも詰め込んでしまったようだ。
いつにもまして「おもちゃ」も多かったし・・・・。
「まあ、いいか」
とそのまま出発してしまったのが大間違いだった。

「眠い!」

ツアーの集合場所、上高地に到着した時点ですでに疲れ果てていた。
新宿から上高地までは臨時の夜行バスで移動した。東京から一緒にバスに乗ったのは10人だった。このバスが狭くて煩かった。私は神経質なので、全然眠れなかったのである。何人かはやっぱり眠れないらしくて、休憩の度に同じ顔ぶれがバスから降りていた。でも何人かは熟睡していたみたいだったなあ、羨ましい・・・・。

「酸素〜!」

第1日目の宿泊地涸沢は標高約2300メートル、さすがに酸素が薄い。
上高地から横尾までは梓川の岸辺を歩くハイキングコースの様なものだ。第1日目の土井隊はそこまで余裕で歩いていた。ワイワイ話しながら歩いたり、写真をとったり、山小屋毎に生ビールを飲んだり(ねえ、土井君)していた。が、急登が始まるとそんな余裕など無くなった。みんなの足が遅くなる。息が段々あがってくる。
私なんか、涸沢の直前では
「ぜ〜ぜ〜、は〜は〜」
と犬のように大きく息をしていた。結局、高山病に掛かったらしく、2日目の宿泊地南岳でも
「ぜ〜ぜ〜、は〜は〜」
していたのである。

それにしても『風のたより』隊のみんなは体力がある。100リットルザックを背負って高速で移動したり、誰とは言わないが走りまわっていたりと・・・・。
でも、疲れ果てた涸沢で飲んだ生ビールはおいしかった・・・・。

「腹が減った!」

一日中歩いていると、当然腹が減る。街中と違って飲食店などないから、山小屋に着いたら、何かしら買って食べた。カップラーメンが街中の数倍の値段だろうと、気にしない。とにかく、空腹と絶景のお陰で美味しく食べられるのである。昔から遠足のおやつを決められた以上に持ってくる子供はいるもので、『風のたより』もまたそうなのだった。
みんな何かしら持ってくる。食べ物に関するエピソードは事欠かないのだ。いやはや、食べ物の恨みは恐ろしいのものである。
そう言えば、大キレット直前の北穂高小屋でカップラーメンを食べながら、
「これが、この世で最後の食事になるかもしれないなあ」
とふと思ったりしたのだった。

「温泉は何処?」

最終日、上高地に戻ってきた先発隊は、
「さあ、温泉だ!」
と荷物番を残して8人で外湯のあるホテルにに向かったのだった。が、着いてみると無情にも「只今、清掃中」の札が! 掃除が終わるまで待つと、予約したバスに間に合いそうにない。そこで、そのホテルで聞くと、もう一軒外湯のあるホテルがあると言う。
先にバスに乗って帰る3人と別れて、5人でその場所へ向かうが、行けども行けども見つからない。15分ほど歩いて、やっと見つけて入ってみると
「本日のお風呂は終わりました」
「・・・・」
へとへとになった5人はその場でアイスクリームを食べて荷物のところに戻ったのだった。
すると、入れ違いになった後発隊が一軒目の清掃が終わった温泉に急いで入って、猛スピードで戻って来たではないか! 
・・・・先発隊の苦労はなんだったのだろう。

「一人いない!」

旅の終わった後、その旅の写真を見るのはまた楽しい事である。
今回の北アルプスツアーでは登りの途中や、へばっている時に写真を撮る余裕がなかったが、それでも私は約150枚写真を撮った。で、焼き増しも済んで、個人別に写真を振り分け終わったとき、あることに気付いた。

北アルプスツアーの参加者は26人、ところが、自分を含めても25人しか写っていないのである! 
調べてみると、K原さんが写っていなかった。縦走中は同じ班になって私の直前を歩いていたことがあるのに、不思議なものである。
そういえば、時期は8月のお盆、場所は何人もの登山者が命を落としている北アルプス、しかも大キレット。
怪談の条件としては最高である。ひょっとして私は幽霊を見ていたのだろうか、と恐いことを考えてしまったりして・・・・。
後日、他の人から貰った写真にK原さんはちゃんと写っていたのだった。

【石川和男】
『風のたより』 SINCE 1992.3.1 
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